岡山県倉敷市は、水島コンビナートや倉敷美観地区で知られていますが、近年では児島のジーンズも注目を集めています。この記事では、児島ジーンズがなぜ有名になり、どんな魅力があるのか、そして課題について探ってみましょう。
明治時代には繊維産業が発展し、最近では工業・文化観光都市として成長しています。倉敷市の繊維産業は外部環境に左右されてきましたが、1965年に尾崎小太郎氏が国産ジーンズ第1号を制作し、児島のジーンズの歴史が始まりました。当時はジーンズの制作が容易ではありませんでしたが、現在は児島がジーンズの中心地として知られています。
倉敷市の繊維産業は減少傾向にあるものの、製造品出荷額や粗付加価値額は横ばいを維持しています。1人当たりの粗付加価値が高くなっていることから、児島ジーンズの生産は高い付加価値を持つものと言えます。
児島ジーンズストリートは、2010年から始まった活性化施策により、味野商店街で展開されています。このストリートでは、使われなくなった空き店舗への企業誘導やイベントの開催などが行われ、ジーンズショップやカフェなどが30店以上集まり、人気が上昇しています。児島のジーンズ文化はインターネットを通じても発信され、製作過程やユニークなトリビアが紹介されています。
ジーンズメーカーの中で欠かせない存在の一つがビッグジョンです。1965年に日本初のジーンズ生産に成功し、高品質なデニムを求めて全てを日本で生産する体制を整えたことで、ジーンズ業界での立役者となりました。ビッグジョンは国内市場を重視し、海外展開には力を入れていませんが、日本国内で高い評価を受けています。
もう一つの主要なプレイヤーであるベティスミスは、レディースジーンズのトップメーカーとして知られています。1973年にはレディースジーンズ用のカープベルトを日本で初めて開発し、ファッション性の高い商品を多品種小ロットで製造し、差別化を図っています。その取り組みの一環として、2003年に開館されたジーンズミュージアムがあり、年間5万人が訪れる人気スポットとなっています。
一方で、児島の繊維産業が抱える課題も存在します。まず、交通網の整備が不十分であり、観光地へのアクセスが悪いことが客を呼び込みづらい原因とされています。また、インバウンドをアウトバウンドへと繋げる施策が不足しており、特にブロガーの活用が効果的でないことが挙げられています。
児島のジーンズは競争が激しく、多品種小ロットで高品質・高価格な商品を生産してきたことが、高い評価と価格帯を築いています。ジーンズの生産量は減少傾向にありますが、市場が二極化し、高付加価値・高価格の製品を求める層が一定数存在していることが一因と考えられています。
総じて、児島のジーンズは高い付加価値と独自性を持ち、地域全体が協力して魅力を伝えている一方で、課題も残されています。地域の連携やインバウンドをアウトバウンドへと繋げる施策の強化が求められています。
この記事は以下の書籍をもとに要約しました。
