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Izuko: 日本初の観光型MaaSのパイオニア

MaaS

MaaS(Mobility as a Service)は、21世紀の産業を形作る核心であり、アフターコロナ時代の新しい標準として注目されています。この革新的なコンセプトは、交通、観光、不動産、物流、行政サービス、遠隔医療、ワーケーションといった多岐にわたる分野で新たな産業の創出を目指しています。MaaSは、ITを駆使して、さまざまな交通手段をシームレスに統合し、地域の課題解決に貢献すると同時に、新たな生活サービスや観光体験の提供を可能にします。

2019年4月1日、静岡県の美しい伊豆半島で、観光と移動の新しい時代の幕が開けました。この日、東急電鉄急行は、日本で初めての観光型MaaS(Mobility as a Service)「Izuko」の実証実験をスタートしました。

Izukoの特徴とサービス

Izukoは、一つのアプリを通じて、AIオンデマンド交通サービス、自動車シェア、観光情報の検索・予約・決済を一元化したサービスを提供します。利用者は、伊豆急線や伊豆箱根鉄道駿豆線、路線バスの経路検索をはじめ、レンタルサイクルやレンタカーの予約、さらには2種類のデジタルフリーパスの購入が可能です。

このフリーパスがあれば、鉄道やバスを利用する際、スマートフォンの画面を提示するだけでOK。現金での支払いが不要になり、観光施設の入場券もアプリ内で購入できるため、入場券売り場での待ち時間を解消します。

Phase 3の実績と展開

2020年11月から2021年3月にかけて行われたPhase 3では、Izukoのサービスエリアを西伊豆エリアや静岡・静岡空港エリアまで拡大しました。さらに、観光商品のバリエーションを前のフェーズの約6倍に増やし、125種類の観光体験を提供。これらは地元事業者と連携し、オリジナルの観光体験を生み出すことで実現しました。

また、利便性の向上を目指して事前購入機能を導入し、会員登録時の認証方法や決済方法の選択肢を増やしました。ワーケーション施設との連携も強化し、利用者の新たなニーズに応えています。

まとめますと以下のようになります。

Phase3で行ったこと

  • サービスエリアを西伊豆エリアや静岡・静岡空港エリアまで拡大
  • 観光商品をPhase2の約6倍にあたる125種に拡充
  • オリジナル観光体験を地元事業者と連携して作り出す
  • 事前購入機能の導入
  • 会員登録時の認証や決済方法の選択肢の増加
  • ワーケーション施設との連携

Phase3の結果

  • エリア拡大の結果、販売枚数全体における中伊豆、西伊豆エリアの商品販売割合はPhase2の3倍となる12%伸長
  • 全利用者の2%をワーケーション滞在者が占めていた。
  • Phase2と比較した全チケットに対する観光チケットの販売割合は高くなった。
  • 観光チケットの合計販売数は想定を下回った。(コロナ禍の外出自粛の影響を受けたことが原因)
  • 交通チケット購入者の約半数が事前に購入し、約4割のユーザーが新しく導入した認証、もしくは決済方法を利用

今後の展望

Izukoは、観光型MaaSとしての可能性を広げ、観光地の移動と体験を再定義しています。Phase 3の結果は、地域の魅力を再発見し、観光業の再生に貢献する重要な一歩です。今後も、Izukoは技術革新と地域連携を進め、観光の新しいスタンダードを創造していきます。

観光と移動の未来を切り開くIzukoの挑戦は、まだ始まったばかり。私たちは、この革新的な取り組みが、伊豆半島、そして日本全国の観光地での旅をどのように変えていくのか、引き続き注目していきます。

以下を参考にしました。

また、Izukoについてもっと知りたい方はこちらが参考になります。

この本の著者は、MaaSの意味さえ知らなかった元広報課長で、伊豆半島でのリアルな課題に直面しながら、未来の暮らしのモデルを構築しました。「MaaS戦記 伊豆に未来の街を創る」 は、10年後、20年後の東急を支える事業を創出する挑戦の記録です。

本書の章立ては、プロジェクトの始まりから、伊豆半島での具体的な取り組み、地元との共感と軋轢、そしてフェーズごとの挑戦と成長までを綴ります。読者は、無料セミナーでの運命的な出会い、第一歩を踏み出す決意、そして地域特有の気象条件や地形といったリアルな課題との格闘の日々を追体験できます。

特に注目すべきは、「まだ見ぬアプリはIzukoにぞある?」や「Izukoが描く伊豆の未来」といった章です。これらは、MaaSという枠組みを超えて、地域の可能性を最大限に引き出し、訪れる人々に新しい体験を提供するための努力を詳述しています。